アクアマリンの秘密
ざしゅっ…!!



鋭い音と激しい痛みが全身を襲う。
まともに背後から攻撃を喰らったようだ。



でも私はそんなことよりも紫紀に目を奪われていた。

時間が動き出すのと同時に見えなくなるはずだった紫紀。
なのに…私の魔法を破って意志だけでそこに残っている。

崩れていく体と、薄れゆく意識の中で残った全ての魔力を「テレポート」に集中させた。



「華央っ!!」



その声が私の耳に届いたのと同時に紫紀の姿が目の前から消えた。

地面にがくっと足をついた私。

そのまま倒れる。

もう…全身のどこにも力が入らない。


私が倒れたところの雪が赤く染まっていく。



雪が止めどなく降ってくる。
その白さの中に、紫紀の顔を想い浮かべた。




「紫紀…。」


私が最期に呟いた言葉は、私が愛した男の名前だった。
この世で一番愛しい人の…名前だった。



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