アクアマリンの秘密
「だったら?」

「お前を終わらせて…俺も終わる。」

「…どういう意味?」

「言葉通りの意味だ。」

「…自殺するってこと?」

「…俺だってもう疲れた。お前のいない世界で生きることに、何の意味も感じない。」

「それは…嘘ね。」

「嘘ではない。」

「いいえ。それは嘘よ。
あなたはもう…自分の時間を進み始めている。
…私のことを全て過去にして進んで欲しくないって…ずっと思っていたけれど…。そうはいかないものね。
あなたは新しい仲間と進んでいるわ、確実に。
あなたがいなくなってしまったら…あの子たちは哀しむ。
それもちゃんと分かっているあなたは…自殺なんかしないわ。
あなたの生きる意味は…今、仲間のためにある。

不思議ね…。私はあなたの生きる意味が自分ではなくなることを恐れていたはずなのに…。
あの子たちがあなたの生きる意味になることが…ただ素直に嬉しいの。
紫紀、私はあの子たちと歩んでいくあなたが羨ましい。そして…嬉しい。」

「…。」



その目は本物だった。
華央は本気でこう言っている。それだけ分かれば充分だった。



< 273 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop