アクアマリンの秘密
「私は…あなたを守るために命を捨てたなんてこれっぽっちも思っていないわ。」

「どういう意味だ?」

「…あなたと一生…ずっとそばで生きていきたかったから…あなたに託したの、紫紀。」

「俺と一生…。」

「あなたを…こんな風に縛ってしまってごめんなさい。それは謝るわ。
でもあなたにだけは忘れられたくなかった。生きていて別れたとしても、死んで別れたとしても。
それは私の我儘。でも…最期の我儘だから許して。

…あなたと最期にこうして話すことが出来て良かった。
ずっと…フェイの奥に閉じ込められている間、ずっと…
あなたの顔が見たかった。あなたの声が聞きたかった。
あの頃みたく…『華央』と呼んでほしかった。
あなたの腕の中に…いたかった。」







華央は泣いていた。
その美しい灰色の瞳から、大粒の涙を零していた。
俺はそのまま華央を抱きしめた。



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