アクアマリンの秘密
それはまるで儚い夢のように
* * *
あたしの時間が動き出したその時には…
もう華央さんの姿はなかった。
あったのは、雪の上に落ちた紫色の共鳴石、ただ一つ。
それが全てを物語る。
一つの命が完全に終わったのだと。
もう永遠に戻ることはないのだと。
紫紀さんはただ俯いていた。
でもあたしにはかける言葉も見つからない。
…大切な人を失くしたことがないあたしには分かるはずもない想い。
冷静に考えてみれば、あたしがしたことは余計紫紀さんを苦しめてしまっただけなんじゃないかって思う。
フェイの中の華央さんに反応していた紫紀さんは、フェイ相手に本気が出せない。
だから紫紀さんの身が危ないって思って、なんとかフェイを華央さんに戻したくてああしたけど…。
でもそうしなかったら…紫紀さんが華央さんを斬ることはなかった。
一番愛しく思う人の薬指を…斬るなんてことには…。
「星来。」
「え?あっ…紫紀さんっ…。」
「…ありがとう、と言わなくてはならないな。お前に。」
「え?」
「…華央に華央としての『死』を与えてくれてありがとう。
そして…俺を守ってくれて…ありがとう。」
いつもは絶対に笑わないはずの紫紀さんが、優しく…ほんの少しだけ微笑んだ。
笑顔なのに、どこかその表情が切なくて、あたしの目から涙が溢れた。
あたしの時間が動き出したその時には…
もう華央さんの姿はなかった。
あったのは、雪の上に落ちた紫色の共鳴石、ただ一つ。
それが全てを物語る。
一つの命が完全に終わったのだと。
もう永遠に戻ることはないのだと。
紫紀さんはただ俯いていた。
でもあたしにはかける言葉も見つからない。
…大切な人を失くしたことがないあたしには分かるはずもない想い。
冷静に考えてみれば、あたしがしたことは余計紫紀さんを苦しめてしまっただけなんじゃないかって思う。
フェイの中の華央さんに反応していた紫紀さんは、フェイ相手に本気が出せない。
だから紫紀さんの身が危ないって思って、なんとかフェイを華央さんに戻したくてああしたけど…。
でもそうしなかったら…紫紀さんが華央さんを斬ることはなかった。
一番愛しく思う人の薬指を…斬るなんてことには…。
「星来。」
「え?あっ…紫紀さんっ…。」
「…ありがとう、と言わなくてはならないな。お前に。」
「え?」
「…華央に華央としての『死』を与えてくれてありがとう。
そして…俺を守ってくれて…ありがとう。」
いつもは絶対に笑わないはずの紫紀さんが、優しく…ほんの少しだけ微笑んだ。
笑顔なのに、どこかその表情が切なくて、あたしの目から涙が溢れた。