アクアマリンの秘密
星来の部屋を出たところで俺を待ちかまえていたのは…


「白斗。何の用だ?」

「何の用じゃないだろ?その怪我の治療だよ。
よく立って歩けるねってほどの怪我なんだけど?」

「痛みは感じない。だから問題ない。」

「そうじゃないよ、紫紀。
痛みを感じないのは君の心が麻痺しているからだ。
オレが診たところでは…正直言ってなんで立っていられるのか、それに星来をなんで運べたのか理解に苦しむぐらいなんだけど。
…桃依、紫紀をフライで運んでくれる?リビングまで。」

「うっ…うん!!」



俺は抵抗しようとしたが、半ば強引に桃依にフライをかけられ、そのままリビングのソファーへと下ろされる。


「力を使いすぎるなよ。白斗。」

「それはこっちのセリフだよ。
顔色なんて真っ青だし、出血量も結構ある。
力の使いすぎだけじゃなく、体までボロボロにして…全く。」

「…もっと戦えると思っていた。」

「え?」





ただ同じ顔をしているだけだと、何度も自分に言い聞かせた。
それなのに…
実際のところ、俺の手で…本気でフェイを斬ろうとは思っていなかった。




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