アクアマリンの秘密
「…表情も声も…全然平気なようには思えないですよ、紫紀さん。
苦しい時には…それを内側にため込むよりも吐き出してしまった方がラクになるときがあります。
私も…一緒に暮らしていたおばあさんが亡くなってしまったときは…動物とかお花とかに相談相手になってもらいましたから。」



そう言われて、自分がかつて華央に言った言葉を思い出す。



『…苦しい時は人に話すと楽になるそうだ。人に話を聞いてもらうと、痛みも和らぐ…。』



「まさか、自分が言った言葉がこう跳ね返ってくるとはな。」

「え?」

「今のお前のような台詞を、俺はかつて華央に言った。」

「…そうだったんですか。」

「…。」

「華央さんは…どんな人でしたか?」

「え?」

「あ、もし嫌なら話さなくて構いません…。
でも…あたしも華央さんと友達になれたらいいなって…思ったので…華央さんのことが知りたいなって…。」



…華央が言った言葉か…。
確かに星来なら、華央の友達になれたかもしれない。


「華央は…強い人間だった。でも…弱くもあった。」

「…強いけど…弱い…?」



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