アクアマリンの秘密
「ところで…緑志はどうしてそんな浮かない顔をしてるの?」

「え?」

「さっきから口数すっご~く少ないよね?ボク、気になってたんだ。
何か…あったの?」

「いや…別にそういうわけじゃないんだけど…。」

「次の国が自分の国だから…かな?」

「…。」



図星をつかれた。
まさしく、今の僕の悩みはそれだ。

国に戻ることなんてないと今まではずっと思っていたのに、今では自分の国が目の前まで迫っている。




「パシフィックブレードに戻ることが…何かマズイの?」

「…僕にとっては…そんなことはない。
ただ…蒼刃にとっては…。」

「蒼刃?」





僕は全て知ってる。
あの国の終わり方も、父上と母上の最期も、全て。
だけど…





「緑志しか知らないことがあるんだね。」

「…うん。」


そう。僕しか知らないことがある。
パシフィックブレードの生き残りの僕たち二人。
だけど共有しているはずの記憶は…同じではない。



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