アクアマリンの秘密
【蒼刃side】



…何も言えなかった。
星来の手が温かい理由。
そしてついに来た、自分の故郷のこと。
まだ足を踏み入れてないなんて、言えない。



「もう…着いたんだよね。
…どんな…国…?」

「…お前、もう少し休んでろ。」

「え?蒼刃…?」




故郷のことなら覚えている。
もちろん…最期も。

記憶は変わらないはずなのに、この国に着いてから妙に感じる違和感。そして胸騒ぎ。




「…なんなんだよ…この感じ…。」




自分でも説明が出来ない違和感に戸惑っていたのは紛れもなく俺だった。




「蒼刃。」

「…緑志か。」

「星来、まだ目覚めない?」

「いや、さっき目が覚めた。
でも寝過ぎたからかしんねぇけど、上手く立てねぇ。」

「…そっか。
ところで蒼刃。」



< 306 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop