アクアマリンの秘密
「は…?」

「あたしはっ…別に蒼刃が弱いから心配してるんじゃないもん!!
…この前…緑志に蒼刃の過去も聞いたし…お父様の最期も…聞いた。」

「だったら幻滅しただろ?
家族さえ守れずに、むしろ守られていた弱い俺なんて…」

「幻滅なんてしてないっ!!
あたしは…蒼刃が辛くて立ち上がれないなら、そばにいて支えたいって一番に思ったよ。」

「え…?」

「蒼刃が…辛いのを一人で抱えこんじゃうくらいなら…あたしに分けてほしかった。」

「…。」

「あたしを…みんなを…もっと頼ってほしかった…。」

「…。」

「それに…。」



あたしは蒼刃のやつれた頬に手を添えた。



「こんな風になるまで…放っておくべきじゃなかったって…後悔してる。
確かに一人になる時間は必要かもしれない…。
だけど…それでも…蒼刃が辛い時に…一人で辛い想いを抱えてほしくなかった。

ごめんね…。
一番辛い時に…一人にしちゃって。
蒼刃が嫌でも…もっと前にこうやって押し入ればよかったなって…思ってる。」



あたしは真っすぐに蒼刃の目を見つめた。
蒼刃は、下げていた視線をゆっくりと上げ、あたしの目に焦点を合わせた。



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