アクアマリンの秘密
この地の記憶は全て、10年前で止まってた。
その後は…
何も変わらず地がやせ細っていくだけ。
美しかった自然が失われていくだけの…哀しい記憶。


それを思い出して、思わず涙が出た。
その瞬間…


「え?」


蒼刃の手が、あたしの頭をポンポンと軽く撫でる。


「泣けよ、気が済むまで。
お前が何を視たのか想像することしか出来ねぇけど…
それでも…お前にとって辛かったってことは分かってるから。」

「…っ…。」


もう限界だったあたしの涙腺は、その言葉で完全に崩壊した。

ポンポンと頭に触れる蒼刃の手からも、優しい声がなんとなく聞こえてきて、あたしは余計に涙が出た。



「……星来。」


あたしは名前を呼ばれた方に目を向けた。

そこに立っているのは、桃依。
優しく…微笑んでいる。


「ボクね…正直に言うとあんまり覚えてないんだ。えっと…ここのことを。」

「…え…?」

「ボクが5歳の時…だから…。」


そう言いながら少しずつ、あたしに近付いてくる。


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