アクアマリンの秘密
* * *

どのくらいの時間…泣いてたんだろう?
さすがに目が痛くなってきた…。

ゆっくりとあたしから離れてあたしの目を見つめる桃依。


「星来。」


あたしは顔を上げた。


「もう、泣き止んで?」


そう言ってそっとあたしの涙をすくう桃依。


「も~っ…桃依が優しいのがいけないんだからっ…。」

「え?」

「桃依のほうが辛いのに…なのにっ…
そうやってあたしのこと気遣って…。
だから涙止まんないっ…。
あたし…何も出来ないのに…。
ごめん…なさい…。何も…出来なくて…」


泣いたってどうしようもないことは分かってる。
頭ではちゃんと分かってるの。
なのに…どうしても涙が溢れて止まらない。


「星来は何も出来なくなんかないよ。
それに、謝らなくちゃいけないのはボクのほうだ。
ごめんね…星来に辛い思いをさせちゃって。
ボクに触れたときに、ボクの記憶も視えたんでしょ?
だから余計…悲しくなっちゃったんだよね。
もう…泣かないで。
星来が泣いてると、ボクまで涙が出てくるよ…。」


「あ~…お前ら、俺がいること、完全に忘れてるだろ?」


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