アクアマリンの秘密
「スリープ。」

「フライっ!!」


その魔法を唱えた瞬間に、目の前のジャニア…いや、もう月叉に戻ったこいつの瞼が落ちる。
髪の色が毛先の方から星来と同じ、水色に変わっていく。
月叉として受けた傷跡が蘇ってくる。
じわりじわりと、その顔にもその腕にも傷が戻ってくる。
血が滴り落ちる。



「タイム。」



その声とともに滴り落ちていたはずの血は止まり、呼吸も止まる。
地面へとゆっくり落ちていく月叉の体を、俺はギリギリのところで支えた。



「紫紀、よく分かったな。」

「お前の考えそうなことだ。なんとか生かしたかったんだろう?」

「まぁな。白斗、あとは頼む。
俺が斬り落とした腕の時間も止まっているはずだから、あとはヒールでくっつけてやってくれ。
紫紀、こいつの傷を治すまで…こいつの体の時間を止めることは出来るか?」

「…一人の時間を止めるくらい問題ない。」

「白斗、治る見込みはあるか?」

「…死んでいないから…可能性はゼロじゃない。
オレが救うよ。必ずね。」

「任せた。」


もう、俺に出来ることは何もない。



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