アクアマリンの秘密

あたしの名前は氷泡星来(ﾋﾎｳｾｲﾗ)。


あたしは自分の名前、誰かの手の温かさ、そしてその誰かとの約束しか覚えていない。
さっきまで見ていた夢の中の約束、たったそれだけ。


ここに来たのは3年前。
だけどどうやって自分がここまで来たのか、そして自分はどこから来たのか、家族はいるのか…すべてが分からない。
あたしにはここ、ナチュラルアースに来るまでの記憶が全くない。



あたしはデイジーの花瓶の水を取り換えた。


『すごく新鮮な水ね。とっても美味しいわ。』


今となっては、あたしの話し相手はこのデイジー、そしてここに遊びに来る動物たちしかいない。


触れたものの気持ちが分かるという力。
それがあたしの持つ不思議な力。
声なき声があたしの心には直に響く。
たとえ自分で気持ちを読もうという気がなくても、触れれば自然と。


こういう不思議な力は誰もが持っているものなのか、それともそうじゃないのか…
それに、あたしの持つ力以外にも、他にいろんな力があるのか…


それさえもあたしには分からない。