アクアマリンの秘密
瞬間移動の魔法による魔力の消費は思いの外大きくて、俺は大きくふらついた。



「…大したものだ。
さすがはアクアマリンの王位継承者。
魔力は妹には及ばずとも、現国王よりはマシなようだな。
ここで殺すには実に惜しい。」

「…。」



俺は目の前の男の、なんとも冷酷な目を見つめた。
何を考えているのか、読めもしない。いや、読みたくもないと言った方が正しいかもしれない。



「私の忠実なしもべになると約束できるなら、お前を生かそう。」

「…?」

「考える時間を1分やろう。
そこで決めるがよい。
生か死か。」






1分なんて必要ない。
多くの国を滅ぼし、多くの人を殺めたこの男に傅くほど、俺は愚かじゃない。
こいつは…俺の友人を殺した。

華央は…大切な仲間だった。
燈龍も…昔からよく知る大切な友人だった。


そんなやつに俺がひざまずくとでも?


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