アクアマリンの秘密
* * *



俺は目覚めた。

辺りは薄暗く、不思議なほどに体は軽い。

自分の手を見つめる。




「傷が…ない…。」



あれだけ痛めつけられた俺の体のどこにも、傷なんてなかった。
俺は心臓に手を当てた。



「…音が…しない…。」



それが答えだった。
俺が今、こうして『動ける理由』





『もう、ニンゲンではないから。』






俺だけど、もはや俺ではない『何か』。


最初のビシアスの誕生だった。


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