アクアマリンの秘密
…不思議な感覚だった。

ジャニアと呼ばれる月叉の心を持つ自分が。
本当の自分が見えない、そんな気さえする。



「…ジャニア…かぁ…。」




ぽつりと新たな名を呟いた。

隣に置いてある鏡を見つめる。

月明かりが差し込む。




「髪と目が赤くなった以外は…特に変わりはないな。」




俺の身体で変わったところと言えばそれくらいだった。


本来ならば、死んだはずの自分がこうして別のイキモノとも言えないようなものに変えられてしまったことを嘆くべきだったのかもしれない。
だけど俺は、そうは思わなかった。




ただ…もしかしたら…
また星来に…大切な妹に会えるかもしれない。

その希望だけが俺を奮い立たせてくれた。

今自分のいる位置が、いずれ星来の敵となるだろうことは分かっていた。

だったら俺は…




全てを欺けばいい。


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