アクアマリンの秘密
俺はその目にたまった涙をすくった。



「…泣き止んだな。」

「…うん。」



泣き腫らした目で見つめられると、離したくなくなる。
そう思って、俺はゆっくりと星来の頬に触れた。



「…蒼刃…?」

「お前…怪我してんだけど。」

「え?」

「ここ。擦り傷。
飛ばされた時にでも出来たんじゃねぇのか?」

「…そう…なのかな…?
でも…そんなことよりも蒼刃の怪我の方がっ…!!」

「俺の怪我はもう何でもねぇよ。
お前が治してくれたんだろ?
俺が寝ている間に…。」

「え…?なんであたしだって…?」

「お前がこの部屋に…つきっきりでいたんじゃねぇの?」

「…そう…だけど…。」

「で、俺の怪我を見ていられなくなって治したんだろ?」

「だからなんでっ…?」

「お前の性格なんてもう分かってるっつーの。」



傷だらけの俺を放っておけるはずもない。
身体が上手く動かねぇのは寝過ぎたせいだ。
怪我なんてどこにも残っていない。

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