アクアマリンの秘密
「俺は…お前の言葉を無視した。
お前に一生許されることはないだろうとも思った。」

「え…?」

「今、唯一生存が分かるお前の大切な兄貴を終わらせようとしたんだぞ?
もしあいつが本当に死んでしまっていたなら…
お前はきっと、俺を一生許しはしない。
だけど…あの時俺は…それでも構わないと思ったんだ。
もう二度と…お前が俺に笑いかけてくれなくても…それでも。」



それでもいいと思った。
一生嫌われたとしても…。
こいつを守れるだけの能力が手に入り、この先であいつらを倒し、こいつを国に返せるのであれば…。
たとえ俺の存在が完全に忘れ去られても構わない。
俺と過ごした日々が、星来にとって忌まわしい思い出だと思われるのも当然だ。
そう…思ったんだ。



全てを捨てて、守ると決めた。
全てを捨てなければ、守れない存在だと知った。



だから迷うべきでも、迷うはずもないことだった。



ただ、俺はまだ弱いから…
お前の言葉を聞いた時に一瞬揺らいだけれど。






「あたしが…蒼刃を一生許さないなんて…そんなこと…。」


急に星来の声が震える。


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