アクアマリンの秘密
きつく…本当にきつく抱きしめてくれる蒼刃。
あたしの背中に回った手は、いつもよりなんだか熱くて力強い。


「そ…うは…?」

「気が済むまで泣け。
その代わり…俺にその泣き顔見せんな。」

「え…?」

「こうしてれば泣き顔なんて見えねぇから。好きなだけ泣けよ。
俺が…そばにいてやるから。」



ぶっきらぼうだけど…蒼刃の声はあたしの甘えた心にじんわりと染み込んでくる。
その優しさが、あたしの全身を包む。

涙が余計止まらない。
あたしは一生懸命声を殺して泣いた。
あたしの涙が酷くなる度に蒼刃がぐっと抱きしめてくれる。


…この腕の中にこうしてあたしがいることはもう…ないかもしれない。
それを思うと、涙が流れてどうしようもなくなる。

この気持ちが何なのか…分からない。
だけど…寂しいのだけは本当だから。

だから今はこうして…蒼刃の腕の中にいさせてほしい。

ワガママだって分かってるし、甘えてるだけなんだって分かってる。

だけど…
今は離れたくないから。

今だけは…こうして蒼刃のそばにいたい。


あたしはゆっくりと蒼刃の背中に腕を回し、目を閉じた。
涙が両目から零れ落ちた。


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