アクアマリンの秘密
「…しっかし…痛ぇんだよ…くそ…っ…。
あー…マジで痛ぇ。」

「強さを求めるその理由は見つかったか?蒼刃。」





懐かしいこの声。
さっき目の前にいた人物と同じ声だけどどこか違う。
この声の主は間違いなく…





「…父さん。」


紛れもなく、目の前の人間は父さんだ。
少し透けているのが気にはなったけど、それもある意味仕方ないことだと自分に言い聞かせた。
この『特殊』な空間で、こうして言葉を交わせていることさえ奇跡みたいなもんだ。



「戦いの最中に思い出に想いを馳せるなんて、お前は戦いそのものを甘く見すぎている。」

「…見てたのかよ…。」

「お前が私の身体と戦っていたからな。
とはいえ、もうあれは私のものではないのだが。」

「どういう意味だ?」

「今さら説明はいらぬだろう。
今のお前にとってはほんの数秒前の戦闘でさえもはや過去だ。
先を急ぐお前の足枷にしかならない。」


なんだか適当に誤魔化されているような気がした。
父さんはいつだってこうだった。
俺に質問ばかり投げかけて、答えはくれない。


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