アクアマリンの秘密
「父さんの言ってた理由…
なんだか今になって分かるようになった気がしたんだよな。
まぁ戦ってる時に余計なこと考えてたから怪我したんだけど。」

「私の答えは…『母さんを守るため』だったな。」

「ああ。
あん時は意味が分かんなかったんだよ。
なんで一国の王が、たかが女一人を守ることに固執するのか…。
父さんにとって、母さんは「たかが女」じゃねぇんだよな…。」

「…そうも取れる。
だが解釈の仕方はもう一つある。
母さんを守るという言葉には、もっと包括的な意味がある。
母さんを守るというのは…母さんが愛しているものを守ることだ。
母さんが愛しているものが何者かに奪われれば、それはもう母さんを守れたことにはならない。母さんの笑顔は…そこで失われてしまう。
それを防ぐためには…母さんが愛し、大切にしているものを守らなくてはならない。
母さんが愛していたのは何よりもお前たちだよ、蒼刃。
私の手には守るべきものが次々増えていった。」

「重荷…だったのか?」

「それが不思議なんだ。重荷だとかそんな風に思ったことなど一度もなかった。
母さんの愛したものを、私も愛していた。
お前たちのことも、国民の笑顔も…平和な土地も全て。
だからそれを守ることは私にとっては当たり前だった。
いや…むしろ、それらを守れることがとても幸せだったとも言えるな。」

「幸せ?面倒の間違いじゃなくて?」

「ああ。
この手に守るだけの力があるのなら、全てを守りたいと思った。
強さというものは…何かを本気で守りたいと思ったときに生まれるのかもしれない。
守るべきものがあるからこそ、私は強くいられた。
…蒼刃。お前の強さを求める理由はなんだ?」

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