アクアマリンの秘密
「さっきから何を言っているんだ?」

「セリユ、あたしは…この戦いの終わりを願っているわ。
あなたたちを倒すことが最大の目的よ。」

「そんなことは言われなくたって分かっている。」

「でも、倒すことと殺すことは違うわ。」

「違わない。
どちらかが死ぬまで戦いは終わらない。」

「そうとは限らない…。
あたしはもうこれ以上、犠牲者は出したくないのよ。」

「犠牲者?
私やイアル様が仮に死んだとして、それでも私達は犠牲者になり得るのか?」

「ええ。
この大きな争いが集結するまでに亡くなってしまった人はみんな犠牲者よ。敵、味方を問わないわ。」

「綺麗事が好きなお姫様だな、お前は。
それで…お前は私をどうしたいのだ?」

「あなたをどうしたいとか…そういうことじゃないの。
あたしは…あなたのことをもうちょっと知りたいなって…。」

「私を知ってどうする?」

「どうするって…お互いが力で相手をねじ伏せたって…それは繰り返されると思うの。
だから戦争はなくならないのよ。
…あたしは、あなたのことを知りたい。
あたしたちとあなたたちに足りないのは…絶対的に…。」

「…これ以上の綺麗事は許さん。」



あたしの喉元に、細長く美しい長剣が突きつけられる。

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