アクアマリンの秘密
不意に何かが斬られる音がした。



私はすっと物陰に身を隠した。
ここで殺されるのは御免だった。








「隠れていても無駄だ。
顔を見せなさい。」





とても落ち着いた声なのに、その奥に眠る冷たさが私を恐怖に凍りつかせる。
皆が狂ってしまったこの中で生き残ったなんて相当な力の持ち主だ。
私の小手先の技なんかでは到底太刀打ちできないだろう。



「ここで終わりか…私も。」



それだけ呟いて、私は声のする方へと出て行った。






目の前には私と大して年齢の変わらなそうな男が一人で立っていた。
血まみれの剣を右手に持ったまま…。

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