アクアマリンの秘密
もし一緒に行ったらこの人は…私を愛して…くれるだろうか?

いや…そんなことを思うだけ無駄だ。

愛なんてものが存在する人はこんな風に人を狂気の中に陥れたり、人を殺めたりはしないものだろう。



だけど…
私はずっと…『愛』が欲しかった。
人を愛してみたかったし、人に愛されたかった。

人生において、一度も愛を感じたことがなかった。
それが哀しくて、寂しくて…。
だからずっと愛を求めてた。心のどこかで。

多くの人間に抱かれてきたのも、愛が欲しかったからなのかもしれない。
それでも…得たものは金だけだったけれど。

『愛』という感情は何なのだろうか?
私は『愛』を与えられるべき存在に成り得るのだろうか?
私は『愛』を誰かに与えることの出来る人間に成り得るのだろうか?



ここで死を選ぶことは、『愛』を手に入れられないまま終わるということだ。
私が今まで死を選択してこなかったのは…きっとこの心の奥底に『愛』への執着があったからだ。


その執着は…今更捨てられるものでもない。






「あなたは…『愛』を知っているのか?」



気付けばそう口にしていた。




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