アクアマリンの秘密
「知っているように見えるか?」

「いや…。」

「お前も知らないのだな。」

「与えられたことがないから、与え方も分からない。」

「それは私も同じだ。
目に見えぬものは分からない。
『愛』が欲しいのか?」

「…欲しい。」

「そうか。
お前は…無垢で素直だな。」

「無垢でも素直でもない。」

「なかなか手に入れることの出来ない欲しいものを、欲しいと言える人間はなかなかいない。
手に入れる前から諦めてしまう。
…お前は…諦めたくはないのだろう?
その目に見えぬ『愛』とやらを。」



すぐに頷くことは出来なかった。
だが、首を振ることも出来ないでいた。





「自分では選べぬか?
ならば…。」







ゆっくりと私に近付いてくる男。

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