アクアマリンの秘密
目を閉じて、死を覚悟したはずなのにそれは訪れなかった。
冷たくなったはずの部分に熱が蘇る。

ゆっくりと目を開くと、私の周りの時間が止まっていた。
姫は目に涙を浮かべて、私を悲しげに見つめていた。




「これは…。」

「お前と俺の時間を止め、お前の時間だけ戻した。
戻したと言っても、そんなに多くは戻していないがな。」





目の前に立っていたのは、朝霧紫紀だった。
表情一つ変えず、ただ淡々と説明する。





「なぜ…?」

「お前が死ぬと、俺たちの守るべき存在が悲しむ。」

「それだけか?」

「…お前は俺を救った。
だから俺がお前を救うのは当然だ。」

「…私なんかのために時間を巻き戻すとは…。
魔力の消費は大きいだろう?」

「そんなに大きく戻したわけではないから問題ない。
お前こそ魔力の消費は大きかっただろう?
…すまないな。」

「いや、問題ない。」

「…そうか。
立てるか?」

「ああ。」

「俺の後ろに控えろ。」

「私は…敵だぞ?
敵に背中を向けるのか?」

「お前からは殺気を感じない。
今も、最初に出会ったときからずっと。」



その瞬間、止まっていた時は動き出した。

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