アクアマリンの秘密

封印の条件

* * *


あの時…あたしの身を守ってくれたのは…
紺に近い…青い髪をした、私よりも少しだけ年上の男の子。


その蒼く強い眼差しを…今ならとてもよく知ってるわ。


その瞳に捉えられると何も言えなくなるの。


強引な腕も、言葉も…不思議なくらい身体に馴染むのは…
かつて一度、あなたに会っていたから。


あなたの声を聞くと、心のどこかで安心するのは…
思い出の中であなたに会っていたからなの。


どうして気付かなかったの?


初めて記憶のないあたしに会ったとき、記憶がないってことに対してあんなに怒っていたのは…
あなたもきっと、その思い出を大切にしていてくれたから。
あたしの記憶の話を星空の下でした時に、切なそうな顔をしたのは…
一番肝心な記憶を失くしてしまっている私のことが歯痒かったからよ。


言おうと思えば言えたのに、それを言わなかったのは…
あたしに思い出してほしかったからなのに…。








「ごめんね…蒼刃…。」




あたしはやっと、記憶の答えに辿り着いた。



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