アクアマリンの秘密
最初は…あたし、何もしてないのに何で怒った顔であたしを見るのかなって思ってた。
記憶のないあたしにとって、蒼刃の印象は最悪に近かった。


でもね…今は蒼刃があたしを怒った顔で見るのは仕方のないことだと思ってる。
あたしが逆の立場だったら…蒼刃と同じ態度を取ってると思うし。


それにね…
蒼刃の印象はすぐに変わったんだ。
自分でも驚くくらいすぐに。


強引だけど、意地悪だけど、喧嘩ばっかりだったけど…
それでも蒼刃はいつもあたしを守ってくれた。
いつも力強いその腕で抱きしめてくれた。
それがどんなにあたしに安らぎを与えてくれてたか、知らないでしょ?
涙を流したことなんていっぱいあった。
その度に涙をすくって、ぶっきらぼうに慰めてくれたのは…いつだって蒼刃だった。
あたしの目をわしゃわしゃとこすって、頭をポンポンと撫でてくれる、その手がすごく温かくて、心地良かった。
蒼刃は…いつでもそばにいてくれた。
あたしが嬉しい時も、悲しい時も、戦いの最中でも、いつでも。
蒼刃はいつもあたしのそばにいてくれた…どんな時だってずっと。






それがね…いつの間にか当たり前になってたけど…
今になって分かったの。
それって、当たり前なことじゃない。
いつ消えてしまってもおかしくないようなことだった。


だからあたしは…感謝したい。
いつもそばにいてくれたことも、抱きしめてくれたことも、守ってくれたことも全部。


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