アクアマリンの秘密
「お前の力で私を封印だと?
笑わせてくれるな…アクアマリンの姫君は。
そんな魔法、この世に存在しない。」

「いいえ。存在するわ。
あなたが知らないだけ…。」

「ほぅ…面白い。
ならばその封印の魔法とやらを使ってみるがよい。
お前の魔力に押し潰されるほど、私は落ちぶれてなどいないぞ。」

「…そうね。
だからあたしも本気よ、イアル。
あなたのしたことは…何一つとして許せないわ。
桃依の家族を殺したことも、燈龍さんを殺したことも…華央さんを殺したことも、そして蒼刃と緑志のご両親を殺したことも…
もっともっと多くの人を殺したことも…
それに…華央さんとお兄様をビシアスにしたことも全て…あたしは許せない。」




言葉にするということには、魔力が潜んでいるみたいだった。
怒りが段々込み上げて来て、それがあたしの体内で力に変換されているのが分かる。




「…私は新しい国を作りたいのだよ、星来。
争いごとの起こらぬ、平和な国を。」

「嘘ね。
そんなことを思う人間が、これほど多くの人間を殺すことが出来るはずないわ。
あなたが作りたいのは平和な国じゃない。
あなたに従順な手駒が集まった、あなたが独裁者となれる世界よ。」

「その読みは間違っていない。
強き者が権力を握れば国は落ち着く。
弱き者はそれに従うしか生きる術は無い。
…セリユ…いや、今はもうただの使えない人間、『瑠香』に成り果ててしまっているが…
『瑠香』の過去を視ただろう?
あれが現実だ。
権力者が弱ければ国は壊せる。」

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