アクアマリンの秘密
「確かに…そういう部分はあるかもしれないわ。
権力者には強さが求められる。
でも…あなたの知ってる強さは目に見える強さだけよ。
それだけじゃ何も守れないわ。破壊するしか出来ない。」

「破壊は始まりを作りだすためには必要なのだよ、星来。」

「いいえ。それは間違ってる。
破壊する権利はこの世の誰にもないわ。」

「…新しいものを作るためには犠牲は必要不可欠だ。
死ぬべき弱い人間が死んだ。ただそれだけのこと。」

「ボクの家族は死ぬべき人間じゃないっ!!」

「桃依っ!!」



あたしは桃依を制した。
桃依の気持ちは…桃依の声を聞けば分かる。
…怒りが余計増していく。



「死ぬべき人間なんていないわ。
弱い人間が死ねばいいなんて思わない。
強い人間だけが生き残ればいいとも思わない。
どんな人間にも、生きる権利がある。
大切な人と出会って、家庭を築いて幸せに生きる権利が。
あなたはそれを奪った。
数えきれないほど多くの人達から。
だからあたしはあなたを許さない。」






あたしはゆっくりと瞳を閉じた。
月星の魔導書のあのページを脳裏に浮かべる。



…出来るわ。記憶を核にして。


『封印の魔法』を完成させる。

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