アクアマリンの秘密
「記憶が…もう…戻らない…。」

「蒼刃…。」

「じゃあボクたちと過ごしてきたことも全部…星来の中ではなかったことになっちゃうの?」

「おそらく…。」

「そんなの嫌だっ!!ボクは絶対…絶対嫌!!」

「星来…そこまでしてオレたちを…。」

「俺たちのこの傷を見て判断したのだろう。
…最後まで不甲斐ないな。」



全てがあいつの中でなかったことになったって言うのかよ…。
戻った記憶はもちろん、新しく積み重ねた思い出も。



「なんで…。」



俺は眠っている星来を強く抱きしめた。

安らかな顔で眠っているのに、その顔を見ただけで泣きたくなる。

俺の瞳に映るお前はお前のままなのに、お前の瞳に映る俺はもはや俺じゃない。
『知らない誰か』

その変えられない事実が痛い。















「『話聞く』って…約束しただろ…。」

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