アクアマリンの秘密
「さて…何から話そうかのぉ…。
おぉ…瑠香。そなたはやはり…星来の封印の対象にはならなかったのじゃな。」

「…やはりとはどういう意味でしょうか?
それに私の名前をなぜ…?」

「『先を視た』からじゃ。」

「先を視た…?」

「左様。
知っているとは思うが説明しよう。
強い力のある者はごく稀に先を視ることがあるのじゃ。
先、つまり未来をな。
わしは…まぁ…自分で言うのもなんじゃが、魔力だけで言えばアクアマリンの血筋を引く者の中では星来の次に位置する。もちろん、星来には遠く及ばん。あの子の能力は非常に特殊じゃ。」

「あなたは…ルクスインの最期を知っていた、ということですか?」

「…そこまではちょっと言いすぎじゃ。
先を視ると言ってもな、全てを視ることは出来ぬ。
そして…わしが視たものは必ずしも現実ではない。」

「どういう…意味ですか?」

「力のある者が視る『先』はの、その者が視た時点で最も起こり得る未来なのじゃ。
未来は…常に変わっておる。
ある者がある者に影響すれば、また未来が変わる。
じゃからな、わしがあの日に視た未来もまた、不確実な未来なのじゃ。正確な未来を視ることが出来る者など、この世におらん。
結果として視たものが本当の未来になった、ということは有り得るがの。
わしの場合もそうじゃ。
ルクスインの崩壊を視た。そして生き残るのはたった二人だということも視た。
イアルと…瑠香、お前じゃよ。」

「…断片的に視たということですか?」

「そうじゃ。
ルクスインが崩壊したのは13年前じゃったな…。
ルクスインの崩壊についてはそれくらいしか視ることは出来なかったが…ルクスインが崩壊した日、わしはもう一つ視たのじゃ。」

「もう一つ?」

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