アクアマリンの秘密
「生き残った2人が、次々と国を滅ぼしていく様じゃ…。
その中に…アクアマリンも入っておった。もちろん他の国も。
…紫紀。」

「はい。」

「華央も視ておったじゃろ…?」

「…はい。
ヴァニティーファウンテンが襲撃される少し前…ですが。」

「やはりそうか…。
おそらく、燈龍、そして美音殿(ミネ)も視ておったはずじゃ。」

「美音とは…母上のことでしょうか?」

「そうじゃ。そなたたちの母上も強い力の持ち主じゃった。
じゃから…視ておったのじゃろう…。
だから未来を変えようとした。自分たちの全てを使って。
わしは先を知っておったのに…何も出来なかった。それは深く詫びねばならんのぉ…。
すまぬことをした。」

「そんな…頭を上げてください陛下。」

「…陛下、少し伺いたいことがあるのですが。」

「なんじゃ…紫紀。」

「陛下は未来を知っていたのに、なぜ未来は変わらなかったのでしょうか?」

「…随分と手厳しい質問じゃの、紫紀。
国が襲撃される未来を視たが、その順番までははっきりと視えなかったというのも理由の一つじゃし、わし自身がその未来に動揺しておったというのもある。
じゃがのぉ…最たる理由は…星来かもしれん。」

「星来?」

「そうじゃ。
わしはどうしても…星来のために新しい国を作らねばならなかった。」

「新しい国…。」

「星来は生まれた時から並々ならぬ魔力を秘めて生まれてきた。
それはそなたたちの知るところじゃろう。
『ハート』の能力はもちろんじゃが、魔力の基礎値が桁違いに大きい。
…イアルの標的になるのは間違いなかった。
イアルの目的は…新しい国の創造じゃったからの。」

「新しい国の創造…?」

「陛下の仰る通りです。
イアル様は新しい国を作ろうとなさってました。」

< 607 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop