アクアマリンの秘密
「紫紀や白斗は?」

「アクアマリンの復旧作業が終わったから、今日は一日お休みみたいだよ。」

「そうなんだ…。
僕たちはもっぱらこっちの復旧作業だったからね。
でも桃依はテレポートが使えるようになったんでしょ?」

「…一人しか移動させられないけどね。
この前は、紫紀を別のところに送っちゃってものすっごく怒られたし!!
まだまだ不安定なんだ…この力。
でもね、目覚めた星来に強くなったってこと…絶対言いたいから、諦めないで頑張るって決めたんだ!!」

「…そっか。」



目覚めてないから目覚めをただひたすらに願う僕たち。
だけど…気がかりなのはその先のことだった。

目覚めた君は…もう僕たちの知っている君じゃないだろ…星来?

僕たちは忘れてしまいそうになる。
君に記憶がないということを。

今こうして眠っていることは、僕たちを記憶のなくなった星来から遠ざけてくれている。
眠っていれば、記憶がなくなったのだということを考えなくて済む。
これはただのその場しのぎでしかない。そんなことは分かっていた。

それでも…明らかだった。蒼刃がこれ以上傷付くことは。

本人としてはきっと、これ以上ないってくらいボロボロだろう。
傷は全て治してもらったはずなのに元の蒼刃に戻れていないのは…まさに星来が理由だ。

それでも…今以上に蒼刃は傷付く。
星来が目覚めれば…必ず。
それが見えているから辛い。
星来の目覚めを一番に願っているのは蒼刃なのに、その目覚めが蒼刃を傷付ける。



「癒してくれたはずの人間に傷付けられるって…どういう気持ちなんだろう…?」

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