アクアマリンの秘密
【瑠香side】


姫は今日も目を覚ましていないと聞いた。
…その言葉を信じられずに見にも行ったが、やはり姫は眠ったままだった。
もう何度となく、あの寝顔を見た。


アクアマリンの復旧作業も終わった。
あとは本当に姫の目覚めを待つばかりだというのに…



「…目覚めても…記憶は戻らない。永遠に。」



呪いの言葉を口にしたのは、自分が傷付かないようにするためだった。
きっと傷付くだろうから。
姫に忘れ去られたという事実を突きつけられたその瞬間に。



「こんなところで何してるんだ?」

「あれー?瑠香はもう仕事ないんだっけ?」

「朝霧紫紀…泉臣白斗…。」

「瑠香ったらお堅いなぁー…
オレら多分そんなに年変わんないし、呼び捨てで全然いいのにー。」

「…呼び捨てなど出来ない。」

「星来は今日も目覚めていないようだな。」

「ああ。」

「…今日で1ヶ月になっちゃうのか…。
本格的に心配になるね…星来のことよりも蒼刃のことが。」

「…そうだな。」




二人とも、同じ顔をして宝来蒼刃を心配していた。
これがいわゆる絆というものなのだろう。


「ってそういやオレ、桃依のテレポートの練習に付き合うって約束してたんだ。
じゃ、またあとで。」



そう言って去っていく泉臣白斗。
ナチュラルアースの王宮の中庭に残される私と…朝霧紫紀。



「瑠香、お前は大丈夫か?」

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