アクアマリンの秘密
【緑志side】


パタンとドアを閉じた。
分かっていたことのはずなのに僕でさえ辛い。
蒼刃が逃げ出した気持ちも…分からないでもない。




「…っく…うっ…星来…やっぱり忘れちゃってたっ…
分かってたのにっ…頭で分かってるっ…つ…つもりだったのにっ…
ホントに言われると…辛いっ…嫌だよぉ…っ…。」



部屋で我慢していた涙が一気に零れ落ちる桃依。
そんな桃依の頭をそっと撫でた。



「…僕の覚悟は…甘かったみたいだ。
心のどこかで…星来なら…もしかしたら星来なら…封印の魔法を跳ね返すかもしれないと思っていたけど…。
そんな奇跡は起こらなかった。
伝説の魔法には…誰も勝てない。」

「犠牲を払わなくては守れない…のは今も昔も変わらない…ということか。」


過去を思い出すかのようにそう呟く紫紀。


「みじめな気持ちになるものだな。
何も出来ない無力感しか感じない。」

「…オレもだ。
星来は…ずっとオレたちを守ってくれていた。守るために…記憶を失った。
なのに…忘れられたことを辛いだなんて…思うのさえ許されないのに…。
どうしようもなく…辛いね。オレたちでさえ。」


白斗の言う通りだった。

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