アクアマリンの秘密
『でもね…今日初めて…怖いって思ったんだ…ボク。』

『怖い?』

『うん。失うのが怖い…って。
あんなに血まみれの蒼刃を見たのは生まれて初めてだったから…
蒼刃が死んじゃったら…どうしようって…』


あたしは目を開けて桃依をじっと見つめる。
桃依の瞳にじわっと浮かぶ涙。


『それにね…星来の真上から剣が落ちた時も…びっくりしたっていうよりはむしろ…怖かったんだ…
星来も死んじゃう…そう思って…
それがホントに怖かった。
二人が死んじゃったら…
二人を失うことって…怖い…
本気で、ボクはそう思った。』


ポロっと涙が一筋、桃依の目から零れ落ちた。


『だからね…ボクは決めたんだ。
自分の出来る限りの力で…守るって。』

『守る?』

『うん。
ボク一人の力なんかじゃ、簡単に誰かを守ったり出来ないって分かってるよ。
でも…それでもボクは守りたい。守るために全力を尽くしたい。
もう二度と…誰も失わないために。
星来も蒼刃も緑志も白斗も紫紀も大事な仲間だから。
ボクにとっては…家族みたいな存在だから。』

「……桃依っ…。」


あたしは桃依にぎゅっと抱きついた。

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