アクアマリンの秘密
優しい唇にあたしは自分でも不思議なくらい安心して、ゆっくりと目を瞑った。
そして唇が離れ、互いの視線がぶつかる。



「…そんなにじっと見ないでよ…やっぱり照れるし。」

「自分から恥ずかしいセリフ喋っておきながらよく言うぜ、ホント…。」

「なっ…だって蒼刃がいつまで経っても根に持ってるんだもん!!」

「普通に根に持つだろ…。
好きな女に忘れられて根に持たねぇ男なんていねぇよ!!」

「あたしだって蒼刃に負けないくらいちゃんと好きだもんっ!!」

「は…?」

「えっ…あ…あたし…何言って…。」



自分で言ったそばから急激に恥ずかしくなる。
顔が熱い…。



「はぁ…ったくお前には敵わねぇよ…んとに。
つーかお前のことなんてとっくの昔に許してるし…。」

「え?」

「お前が俺のことを忘れたのは…まぁ…自業自得な部分もあるし。
俺が弱くて、お前を守り切れなかっただけだからな。」


少し自嘲気味にそう言う蒼刃。
その表情に胸が苦しくなる。
だからあたしは、蒼刃の頬に手を伸ばした。


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