アクアマリンの秘密
「君の持つ『ハート』がその最たるものだよ。」

「え…?」

「君の『ハート』ほど不可解なものはないんだ。
君のほかにこの力を持つ人間がいるかどうかも分からない。
ただ一つ分かっているのは…この能力の持ち主の魔力が強大なことだけ。
だから…君のもつ潜在能力、そして魔力の基礎値が高いのは明白なんだ。」

「えっと…じゃあ…紫紀さんの『タイム』は…。」

「紫紀の能力もかなり珍しい。
でもオレは…紫紀のほかに『タイム』を操ることができた人間を知っている。」

「え…その人は…?」

「もうこの世にはいない。」

「紫紀!!」

「それだけだ。」

「ごめん…。」


伏し目がちにそう呟く白斗さん。その切なそうな眼差しに言葉を失う。


「いや、いい。もう昔の話だ。
星来に説明をしている最中だったな。続けろ。」


そう言ってソファーに腰掛けてコーヒーを飲む紫紀さん。

『もういない』って…
それは…あたしが聞いてはいけないこと…だったんじゃ…。


「ごめんなさい…あたし…。」

「気にしていない。
白斗、話を続けろ。」

「…そうだね…。」

< 82 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop