恋色の紙ヒコーキ
パチパチパチ…

クラス中から湧き上がる拍手。


「すごーい!!お似合い!!
ってか梨絵も陽くんも上手だね!!」

「そんなことないって!!
っていうか陽くんのリードが上手いだけだし。」

「笹川さん、上手いと思うよ?
俺、途中ちょっとつられそうだった。」

「え?ごめん…だって一応グイグイいく役だから…。」

「あはは、確かにね。」

「あ、じゃあ神城さん来てー!!
ちょっとこのシーンを…。
あと陽くんも…。」


梨絵がぶすくれた顔のあたしと安藤のところまでやってきた。


「え…なんか顔似てるんだけど?」

「似てないもん。」

「似てねーよっ!!」

「あれ?二人してなんか怒ってる?」

「怒ってないもん。」

「怒ってねぇーよ。」

「怒ってんじゃん。
だって役だから仕方ないのに…っていうか、あたしと陽くんの絡みはあのぐらいで、他はずっと衣里香と陽くんだよ?
だから久哉がそんなに怒ることは…。」

「だから怒ってねぇって!!」

「んー…じゃあ怒ってないけど機嫌は悪いでしょ!?」

「……まぁ…な。」

「役、降りればいい?」

「んなこと言ってねぇけど。」

「ヤキモチ?
だったらちょっと嬉しいな。」

「はぁ?妬いてるこっちは大変なんだけど?」

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