恋色の紙ヒコーキ
「待ってってば!!」


不意に後ろから腕が掴まれた。

気がつくと人気のあんまりない場所まで来ていた。
一応砂浜だけど。


「そんなに怒らないでよ…。」


しゅんとした顔。
なんだよそれ…
なんか俺がすっげー悪いことしたみたいじゃねーか。


「怒ってねぇ。
梨絵には。
あのチャラい野郎どもがお前に近付くことにイライラしてんだよ。」

「……ぷっ…。
ってごめん…。」


いきなり梨絵が吹き出した。
なんだよ。
さっきまでしゅんとしてたくせに。


「今の、笑うとこ?」

「だって…
そんなに真顔で言うから何かと思ったら…
そんなこと…?」

「そんなことって…
そりゃお前にとっても俺にとっても、お前がモテるってことは日常茶飯事だけどな…
でもその度に俺はイライラしっぱなしなんだよ。」


ほんっと困る。
自分の気持ちのでかさとゆとりのなさに。

つーか絶対俺の方が好き度が高いと思う。
うん。絶対だ。



「なんでイライラするの?」

「はぁ!?」



だめだ。全然分かってない。


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