恋色の紙ヒコーキ
「な…えっと…ちょっと…?」

「何だよ…大人しくしろ。」

「えっと…じゃあ…はい…。」


俺の言葉通り、俺の腕の中で大人しくなった梨絵。


「あのさぁ…
俺、お前が思ってるよりお前の言葉とか行動とかで結構乱されてるよ。
なんつーかまぁ…
お前がモテんのは仕方ないって分かってんのに抑え効かなかったりして、余裕ねぇんだよ。お前のことになると。」


って何言ってんだよ俺!!
こんなこと梨絵に言ったってなんにもなんねぇってかむしろだせぇじゃねぇか!!

そんなことを思う俺の背中に、梨絵の細い腕が回る。



「あたしだって…
いつもいっぱいいっぱいだよ。」


そう言いながらぎゅっと俺に寄り添ってくる。

そういうのヤバいと思う。
可愛すぎる。

俺は腕にぐっと力を込めた。


「久哉は…
あたしばっかりモテるって言うけど…
全然そんなことないんだよ。
久哉がちょっと鈍感過ぎて気付かないだけで、想ってる子、いっぱいいるんだから。
だからあたしも…余裕ない。
いつどんな可愛い子が現れて取られちゃうか分かんないもん。」

「取られちゃうってなんだよ…
俺、景品じゃねぇし。」

「分かってるそんなことは!!
でも不安になることはちゃんとあたしもあるって…。」

「そっか。
安心した。」

「え?」


やっぱバカだな俺。
俺ばっかりが梨絵を好きなんじゃないかなんて、そんなこと思うこと自体馬鹿げてた。


< 129 / 297 >

この作品をシェア

pagetop