恋色の紙ヒコーキ
「お前がそう思ってんならそれでいーよ。」

「な…何その言い方!!あたしが勘違いしてるみたいじゃない!!」

「勘違いじゃねぇけど…ってそうでもないか…?
ま、俺、実際そんなに出来る男じゃねぇよ。
普通に妬くし、独占欲強いし。」

「それは…あたしも同じだから…。」

「そうか?お前、あんま妬かなくね?」

「え?そう見える?」

「見える。」

「それは…久哉が鈍感なだけだよ!!
ってもうそろそろ戻ろう…よ。今何時…?」


そう言って振り返った梨絵の腕を引っ張って、俺の方へと引き寄せる。



「梨絵。」

「え?」




俺に名前を呼ばれて顔を上げた梨絵の唇にそっとキスを落とした。




「ちょ…な…なんで…?」

「なんでって、彼女にキスすんのに理由いる?」

「いや…でもっ…。」

「したくなったからしただけ。
今後もしたくなったらすっから覚悟しとけ。」

「覚悟って…。」

「ほら、戻るんだろ?行くぞ。」


俺が差し出した手をぎゅっと握る梨絵。

ホントはあんま戻りたくねぇけど…

もう夕方だしな。


「久哉っ!!」

「なんだよ?」

「また来ようね、海。」

「ああ。今度は二人っきりでな。」

「うんっ!!」


*久哉side END*

< 132 / 297 >

この作品をシェア

pagetop