恋色の紙ヒコーキ
*陽side*


「ねぇねぇ陽!!
梨絵と安藤いなくないー?」

「そうだね…二人でどっか行っちゃったのかもね。」

「もーっ安藤のバカ!!
そうやって梨絵のこと独占しようとするんだから!!
せっかく今日はみんなでワイワイ楽しもうと思ってたのに!!」


そう言いながら、俺の横にすとんと腰を下ろす。


「なんだかちょっと寒くなってきたね。」

「寒い?」

「うん。ちょっとだけだけど。」

「はい、使いなよ。」

「え?」


俺はバスタオルを渡した。


「俺はそんなに寒くないから。
はる、使っていいよ。」

「でも、絶対寒くなるよ!!」

「二人で使うにはちょっと小さいからさ。
寒くなったら別のを出すよ。
今はとりあえず被っときな。」

「大丈夫!!密着すればこのサイズでも二人で被れる!!」


そう言って俺の右横にぴとっとくっついて、背中にタオルをかけた。
きっと無意識でやってるんだろうなぁ…こういうこと。

こんなにはるのほうから密着されて、俺がこんなにドキドキしてるなんて、はるはこれっぽっちも思っていないだろう。

でも、ま、いいか。
くっつきたかったのは事実だから。


「そろそろ俺も、はると二人っきりになりたいなって思ってたし。」

「へ?」


いきなりはるの声が裏返った。
さっきまで積極的に来てたのに、いきなりちょっと離れる。

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