恋色の紙ヒコーキ
「なんでそんなにあからさまに離れるのさ?」

「だって陽がいきなり変なこと言い出すから!!」

「変なことなんて一言も言ってないけど…
思ったことを素直に言っただけ。
今、俺のそばにはるしかいないし。」


もう付き合いだして半年になる。
なのにはるのこの照れっぷりは全く変わる気配もない。


「だとしてもっ…
いきなりそういうこと言われるとあたし…。」

「?」

「どうしていいかわかんなくなっちゃうじゃん…。」

「……。」



俺は久哉ほど恋愛にハマっているつもりはないけれど…
こういうはるにはひたすら弱い。
それだけはちゃんと自覚している。

みんなには見せない、女の子としてのはるの姿がどうしようもないくらい愛しくなって、胸がぎゅっと苦しくなる。

はると付き合いだしてからはそんな事態に陥ることが多々あった。


「陽?」


はるが少し不安げに俺の顔を下から覗き込んでくる。



「はるが可愛いこと言うから、こっちがペースを乱されるよ、本当に。」

「え?
ってあたし、可愛いことなんか言ってないよ…。」

「それ、自覚ないだけだよ。」


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