恋色の紙ヒコーキ
俺はそのままはるを抱きかかえる。
あ、やっぱりちょっと冷えてきたかもしれない。


「陽ー!!」

「あ、久哉。おかえり。笹川さんも。」

「あれ?はるは?」

「はるはここ。」


俺の腕の中で眠っているはるを指差した。


「タオルに隠れて見えなかった!!
っていうかなんで寝てるの…?」

「はしゃぎすぎて疲れたみたい。
あ、夜は花火するんだよね?」

「うん。その前にどこかでご飯食べない?
もうそろそろそんな時間でしょ?」

「ああ。店混む前に行こうぜ。」

「そうだね。
はる…そろそろ起きな。」

「んー…。」

「あ、陽。俺と梨絵、先に行ってるから、はるが起きたらすぐ来いよ?」

「あ、うん。」

「それと陽。」

「?」


久哉が俺にだけ聞こえる声で言った。


「『眠り姫にキス』を実行すんのは今だぜ。」

「ははっ。参考にしとくよ。」

「何の話?」

「なんでもねぇ。
んじゃ、行こうぜ。」

「意味分かんないんだけどー…。」

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