恋色の紙ヒコーキ
今思えば…
確かにあたしは梨絵の言った通り、キャンプの夜から少しだけ、何かが変わっていた。

あの時のあたしが気付いていなかっただけで、本当はあの時からずっと…
ううん。
もしかしたら出会ったときからずっと…
陽は特別だったのかもしれない。
っていうか特別だったんだよ、絶対。

雨の夜、たった一人で迷子になって不安でいっぱいだった。
だけど…陽なら来てくれるって、そんな気もしてた。

本当に陽が来てくれた瞬間、ピーンと張っていた緊張の糸が切れて、あたしはあの温かい腕の中に飛び込んだ。
怖かったのは嘘じゃないから…
陽の腕の中にいると、不安な気持ちとか恐怖心とか、そういうものがスッとなくなった。

っていうかあの時のあたし…異常!!
そんなことしといて陽への気持ちに気付かないとか…!!
ホント鈍感過ぎて恥ずかしい!!


「はる…どうしたの?百面相?」

「へ?」

「考え事?」

「んー…ちょっと昔のことを思い出してた。」

「昔?」

「なんかあたし、鈍感過ぎだよね…
今更ながらその…なんというか恥ずかしくなってきた…過去の自分。」

「あはは。それってすごい成長だね。」

「ちょっと陽!!あたしのことバカにしてるでしょ?」

「してないよ。
でも久哉の言うとおり、本当に修学旅行は辛かったなぁ…。」

「へ?」

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