恋色の紙ヒコーキ
『約束』

漢字にしたらたった二文字の言葉。
だけどあたしにとってはこれで充分なの。


『たとえ離れ離れになったとしても、俺たちがお互いを想う気持ちは変わらない。』


それが本当かどうかなんて、今のあたしたちには分からない。

でも…今は…
それを信じたい。

あたしたちはこれからどんどん変わっていくし、もう二度と『同じ自分には戻れない』
それは少し寂しいことかもしれない。
それでも…
これからの未来で、また今みたく笑えることを願って…




「ってか来年大学生とか考えられないよねっ!!」

「分かるー。
つーかはる、ぜってぇ女子大生って感じじゃねぇ。」

「はぁ!?安藤なんか絶対浪人するんだから!!」

「おまっ…縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ!!
現実になったらどーしてくれんだ!!」

「というか…二十歳になったら、結婚してるかもしれないね。」

「結婚!?」

「あれ?笹川さん、すごい反応…。」

「えっ!?そんなことないよ…。」

「安藤が梨絵にプロポーズなんかしちゃったらあたし、絶対許さないなー。」

「お前は梨絵の親父かよ?」

「違うけどー。でも幸せに出来なさそうなんだもん安藤。」

「はぁー?俺は出来る男ですー。」

「何よそれーっ!!」


線香花火の小さな光に照らされるみんなの笑顔。
あたしはきっと、高校3年の夏を忘れない…

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