恋色の紙ヒコーキ
「おかえりなさいませ。ジョシュア様。」


「きゃーっ!!
はる先輩超可愛い!!」

「すっごい似合ってる!!」


あたしのメイド姿に次々飛んでくる声にちょっと動揺する。
もーっ…!!
そういうのやめてー台詞飛んじゃうから!!


「ああ、ただいま。シェイル。」


いつもあたしに見せる笑顔よりもずっと甘く、優しく微笑んでくる陽。

そういう顔しないでよー!!
また台詞が…


「いつもありがとう。僕の専属のメイドとして働いてくれて…」

「いえっ…」


ちょっと待って?
こんな台詞台本になくない?
まさかのアドリブ?
こーまーるー!!

あたしは焦って陽から距離を置く。


「国王陛下とのお話はお済みになられたのですか?」

「ああ。
明日は僕の嫌いなパーティーだ。
金持ちが馬鹿騒ぎをするだけのくだらないものに強制参加だそうだよ。
しかも僕の婚約パーティー…。」

「婚約…パーティー…。
おっ…お相手がお決まりになったのですね!!」

「名前も顔も知らないよ。明日いきなり会わせられるんだ…。」

「ジョシュア様…。」


よしっ…!!
あと台詞は1つ。


「ではジョシュア様、私、夕食の支度に参りますので失礼…っ……きゃっ!!」


ほどけていたらしい靴紐を踏んで、あたしはバランスを崩した。

その瞬間…




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