恋色の紙ヒコーキ
陽に頭を抱きかかえられ、ぐっと顔が近付く。


「誓いのキスだよ。」

「えっ!?」

「「「「「きゃーっ!!!!!!!」」」」」


あたしが驚くのと同時にまた女の子の悲鳴。
この劇、悲鳴多すぎじゃない?

なんて思っているうちにどんどん近付く唇。

ねぇ!!こんな公衆の面前ですることじゃなくない!?
でもシェイルの立場上断れない…!!
ちょ…陽!!しっかりしてよ!!

陽は観客席から唇が見えないように首を曲げた。
って今の状況じゃ絶対キスしてるように見えるじゃんか!!

あたしが言いたいことを察してか、あたしたちにしか聞こえないような声で陽が話しだす。

「ホントにキスしてもいい?」

「はぁ!?」

「だってシェイルとジョシュアは結婚するんだよ?」

「ってかなんなのその脚本!!あたし知らないんだけど!!」

「はるには秘密にしてたからね。」

「ちょ…ステージの上でキスとかバカなこと言わないで!!
みんなが見てんだから!!」

「大丈夫。してないよ、寸止めって言えばバレないから。」


そう言って優しく微笑むと、笑顔以上に優しい、そっと触れるだけのキスが降ってきた。


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